ラーク タール1ミリグラム/高田夙児
そんなもの取り出さないでよ
って背中越しに彼女が言ってさ
手に持ってたワセリンを慌てて隠した
Cは苦しそうに そう笑って煙を吐いた
Cの部屋はいつでもとても清潔に整っている
唯一黄色くなった天井だけが煙草を吸っていると
かろうじてわかる程度だった
壁は週に一度磨いているし ファブリーズとお香は
かかせない 天井だけはちょっとできないけど そう見上げて
それから僕を見て 煙草をすすめたCの細い手から
受け取って 笑ってCの煙草の先に 先を押しつけて火をつけた
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