アマテラス/シリ・カゲル
 
南麻布のレストランでは
テーブルに両肘を付いて
三角形を作るのがマナーです

みんなのぞき込んでいるんです
永遠とも思われる
いざなぎ越えの向こうに
果たして何があるのかを

スプマンテのグラスに
白い歯が零れて
浮き上がる小さな気泡は
みな一様に赤味を帯びて

給仕がひと抱えもある
うなぎの香草蒸しを取り分けると
胸ポケットから顔を覗かせた
ひとつかみほどのアマテラスが
じゅるり、と
よだれを垂らした。
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