ジェニファー/ひろっち
では、ラルフで十分過ぎた。
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少子化対策の一環か何なのか知らないけど、育児給付金がアップしていて嬉しかったけど実は大した額でもなくて、ジェニファーは旦那ラルフの収入だけでは賄(まかな)えないから実家のパパ&ママから月五十万円を仕送りしてもらっている。
数学者は金にはならない。 金にかかる証明問題を解いたところでもせいぜいどっかの大学教授になるか、講演会を渡り歩くかで、やりがいがあるのかどうかは分からない。 結局、名誉のためでしかないのだけれど、ラルフはそれでいいと割り切っていて、結婚前の話とは違うとジェニファーは腹を立てていて、息子のブライアンは今日も夫婦関係を観察している。
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そっか、殺す手があったか。
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濃密な愛に満たされて流され行く平穏な時間、飼い殺された毎日。
ジェニファーは今日も明日も貧しい笑みを浮かべるだろう。
息子の使用済みオムツをこんもりと皿に盛って。
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