恋するジャージ/ぽえむ君
 
ジャージは恋をしていた
一目見たそのときから
そのサッカーボールにときめいた
本当は光沢のある白と黒の
単純な色をした丸い球体だけれど
大勢の人から蹴られて
その傷口からは土が染み込み
それでも転がり続けるその姿勢に
男の勇気を感じていた
自分も活発に動き回るけれど
そこまで徹底するほどではない
自分はまだ強くないんだと
サッカーボールを憧れの目で
いつも遠くから見ていた
ほんの少しでもいいから
そばにいられたらと思うけれど
あの荒々しい空気の中では
どうしようもなかった
まぶしい太陽の光がジャージを照らす
いつもの色よりも淡い色になった
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