窓辺の花束/もこもこわたあめ
 

そこには小さな薄桃色の花びら二片がまるで今この瞬間を待ちわびていて
どこから迷ってきたのか君と僕との手をひとつに繋ぎ合わせるように
二人の手のひらにそっと舞い降りる

ふわふわり

首筋から鼻腔をやわらかにくすぐる君のにおいに振り向いたなら
そこには暖かな花びらのような薄桃色の君の唇が僕のそれに当てられていて
薄桃色の花びらが照れて赤く染まってしまうように
仲良く餅つきする月兎さえもうらやむように
二人を繋ぐ糸が決して切れぬように
かたく手を握り締め窓辺の花束を映す君の瞳に僕の微笑を映してみる
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