君/はじめ
 
 僕は君を見ていた 君は夕日を見ていた
 凄い早さで燈黄色に焼けた雲が流れていく 君は美しい
 「この丘、夕日がとても綺麗ね。なんだか心が洗われるよう。海に沈んでいく夕日を見たのは生まれて初めてだわ。神秘的ね。それともこの場所がそう思わせているのかしら。あなたの大切な人が眠っているんでしょう? 私とは対照的な子。あなたはあの子を想い、私はあなたを想っている。三角関係ね。このままずっと私の想いはあなたに届かないのかしら? それともいつの日か報われる日が来るのかしら? 今のあなたにそれを答えることができる?」
 「分からない。僕は君を想っている。今見ている風景が永遠に心に残りそうだよ。風が少し強
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