白詩/みもる
先生は
花瓶に一輪の花を持ってきて
作文を書けと言う
こんなやつでも先生になれるのか
僕が代わって授業をしてやろうかと思った
考えても考えても
頭の中の言葉たちが整列してくれない
まるでこいつら馬鹿なクラスメイトだ
綺麗な言いまわしも
あの子を思い出すと手が止まった
百文が一見だとするならば
僕はいったい何文書けばいいのだろう
大声で叫んで机を蹴飛ばして
脳みそをぐしゃぐしゃに丸めて捨ててやりたい
諦めて僕は
真っ白な紙を見つめる
そこには
見たこともない雪景色
雲の中のくすぐったい世界
まぶしくて何も見えない朝
何一つ置かれていない部屋
自由
僕は一番に席を立ち
白紙を提出する
「先生も、想像してみてください」
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