僕はアリクイ/シリ・カゲル
僕はアリクイ
三度の蟻より
泥水が大好きで
いっつもうわっつらの
ぬるいとこだけ舐めてんだ
僕はアリクイ
本当は
冷たくて濃い泥水のほうが好きだけど
決して深いところまでは
首を突っ込まない
自慢の黄金の毛並みが
泥で汚れてしまうような真似はしたくないんだ
しかしツチブタは
自分のカラダが汚辱にまみれるのも厭わずに
深いところに足を踏み入れていくんだ
そして
僕らアリクイ
は
そんなツチブタの群れなす姿を
水溜まりの向こうから
奥歯に詰まったシロアリをシーハーしながら
ただ眺めていることしかできない存在です。
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