父に会いに行く?/七味とうがらし
 
会いに行かねばと思う
30年経った父は老けたと思う
母が老けたからきっと父も老けたと思う
会いたいなんて
これっぽっちも思っていないと思っていたと思う

少ない記憶の中の彼は
またがる肩であり
ぶらさがる腕であり
だきつく背であり
泣きつくむねであった

彼にとって私は息子であった

会ってあげねばならない
彼の胸には
私と同じ棘が刺さったままで



会いたい
と思う
それはきっといいことだろうと思う

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