奇眼(Odd eye)/佐々宝砂
蝋梅の溶けゆくさまは蝋に似ず
春眠や豪華三本立ての夢
啓蟄や朝日を浴びて我眠る
流し雛流さず焼きぬ空に舞へ
この土はまだ生きてをり下萌ゆる
龍天に上る日を違へはせぬか
卒業の思ひ出知らず泣きてみむ
冴返る記憶の空もこの空も
Summertime Blues 聴けども聴けども春の宵
くちびるにくちびるで塗る春の新色
ポジティブとネガティブ一つ鍋で煮る
時実新子追悼
夫殺すことなく我の時実らむ
髪切りぬ三寒四温の三の日に
春宵のカフェインよ何目覚めさす
貫かれ窓の外にも春の雷
夜の春雨に濡れただけただそれだけ
解氷を映して君が奇眼(オッドアイ)
ただ生きよただ生きよ虫たちよ春
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