月蝕/ひろっち
木下晶子がランバダを踊る。
腰をくねくねくねらせて、ふりふり踊る。
満月の夜に、人生ゲームはお似合いだ。
オレンジの札束を自慢げに持つ里村の横顔にケリを入れる。
ミセスレーテルを5時間振って、
ドリムスキャンブランを3回試みて、
でも、ダブルスパーキラリティの影響からか、電磁波にパッションは感じられない。
結局、隠れた親父は内縁の妻を気遣ってばかり。
出て来るのは、西山田ボルトくらい。
ガステムが黒光りする夜には、
酒も焼酎も女もいらない。
タバコもマージャンもこち亀56巻、104巻もお払い箱だ。
海鮮丼のわさびの量に殺されかけて、
隣席の柏倉さんの資料雪崩の下敷きになりかけて、
満月の夜に、
満月を見上げる。
改札でカードを間違え、
突っかかって、観音バーにつんのめって、
満月の夜に、
満月は逃げてゆく。
それでも、
侵食されない木下晶子は、
今も心の隅にくすぶり続けている。
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