ひとり、であるということ/渡邉建志
 



本棚、新聞の束、散らばっているプリントとか
しばらくじっとしていた、立ったままで

にわたしはいたく惹かれる。プリント「とか」。その、散らばりようと、それにたいする諦めの気持ちと。それから彼はしばらくじっとするのだ。立ったままで。この倒置法の効果。
立ったままで
と改行された後の、読者のほっておかれ感、それと、詩のなかの「彼」の孤独(現実の彼と同一かどうかは知らない)が、この行ほど出ていることはないだろう、といっておいて、実はその次の二つの連にこそ孤独は滲む。第三連。


一人でいて黙り続けていられること、それは
当り前のことなのだろうか
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