水の間に生まれて落ちる/
花丸ぺけ
ぼくはひっそりと生まれ、この世を去った。
長い間、暗闇を歩き、しばらくの間、眠っていた。
ばくはだまってその場を去った。
誰の目にも触れることなく、消えていった。
消えること、寂しくて、消えること、悲しくて、
ひっそりと、涙、流れた。
明るい部屋、白い空気、緑の葉。
見ることもなく、感じるだけであった。
ぼくは生れ、そして、消えた。
青い空。白い雲。凪ぐ風。
ただ、すいこまれるように消えていった。
戻る
編
削
Point
(2)