チョコレート列車/
五十川由依
何も
絵の具を塗りたぐったアルバム
破り捨てた日記
のびきったビデオテープ
突然に吹いていた
紅の風
思い出した
わからなかったテストの解答
あの時言うべきだった言葉
ふと顔をあげる
ライトを消して
キャンドルに火を
おちるおちるおちるおちる
現実の底へと
戻る戻る戻る戻る
自分で巻き戻しのボタンを押した
いや、停止のボタンを押したのか
とっとんとろとろどろんどろん
この列車に停まる駅はない
お乗りになりたければ
さあ、どうぞ
戻る
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(7)