砂の城/智鶴
 
沈んでしまった
沈んでしまったんだよ

波は驚くほど冷たくて
足はガラスの欠片か何かで深く傷ついて
白いワンピース
ガラスの欠片
そのシルエット
日は音も無く哀しい程静かに

沈んでしまったんだ
沈んでしまったんだ

きっと僕等
何かを知るには若過ぎたし
何かを忘れるには大人過ぎた

確か、何かにひどく怯えていたね
その華奢な肩を震わせて
揺らいだ日々が壊れていくのを
知っていたんだろう?
息が詰まりそうになるのを
堪えていたんだろう?
その背中で、ほら

沈んで

「ぼくら、もうもどれないんだよ
ゆるされてしまうんだよ」
そんな知り尽くした言葉を握りつぶした
握りつぶした

砂浜の城で影を消して
そして

沈んでしまった
沈んでしまったんだよ
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