夜の庭、ハナアルキの棲む/角田寿星
 

父さんは
今週も仕事で行けなかったが
「きょうはどうぶつえんで
 きょうりゅうとおほしさまをみてきたの」
少々想像力を要するユキの報告をききながら
夕暮れ
隣家の妹夫婦 ヨコヤマ家へ
花火のお呼ばれにいく

ヨコヤマ家の庭にはもう
従兄弟のチビどもがわらわらと勢揃いして
日没を待ちきれずに
花火をはじめてしまう

暗がりゆく草むらの向こうで
かさこそと足音がきこえたり
土の瘤のうえ 小動物がふたり寄り添って
ぼくらの花火をうっとり見上げてるけど
誰ひとり 気にも留めない

色の変わる花火 レモンのにおいがする花火
チビどもの花火ときたら
情緒も仁義も
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