祈れ/水在らあらあ
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神経質そうに痩せた手を合わせて祈っている
ひざまずいて
教会の中 ステンドグラスを割ってこぼれる夕日に溶けそうな
白金の髪
俺はその斜め後ろに座って
じっと 目を閉じて 一日の疲れを感じている
木槌を一日振るっていた右腕が
熱く 遠い
十字を 切ってみる
そして 指先にくちづける
杉と潮の 匂いがする
そこにおまえの匂いはない
見上げる
天井は高く
手の傷は 今は静かに
仕事上がりに波打ち際で
浜辺の砂をこめて洗われた
悲鳴を忘れて
そうやって離れて行っちまえばいい
そうやって忘れちまえば
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