サーカス/はじめ
 
は孤独である
 貧しい境遇がそうさせたのである
 サーカスは人々が願えば必ずその場所にやって来る
 月が涙を流し流星が降る夜 必ず足音立てずまるで盗人のように人々の心にやって来る サーカスは団長自ら余興をやってくれる
 彼のパフォーマンスは神に匹敵する
 ニジンスキーもびっくりするぐらい繊細で神秘的な身のこなしだ
 彼は一度も喋らない
 ランボーも嫉妬するぐらい文字のない流暢で幻想的な詩い方だ
 人々は彼に深く魅了され感激の拍手喝采を送る
 ショーが終わると彼は静かにメーキャップを落とし鏡を見る
 そこには端正で柔和な顔がある
 彼はそれににっこりと微笑みかけ涙を流す
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