サーカス/はじめ
 
 チャップリンが団長のサーカス団
 経営は滅茶苦茶に苦しい
 くたびれた乞食同然の団員や動物の大群を連れて世界を放浪している
 まさに放浪紳士云われる所以である
 団員にはやたらと厳しいくせに自分にはとても甘いのである
 まさにチャップリン云われる所以である
 メーキャップを人前で外したことがない
 だから彼の素顔を見た者は誰もいない
 彼は幼い頃から自分の殻に閉じこもっていていつもまにか内面が外に出ることを恐れるようになりメーキャップをするようになったのである
 言うなれば彼は仮面をしているのである
 仮面の道化師
 天才の苦悩がメーキャップを汚す汗に滲んでいる
 彼は孤
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