深奥の桔梗/はじめ
全身包帯姿の艶やかな君の 心の願いが叶う歌に耳を澄ませるよ
痛々しい 螺旋状に薔薇が巻き付いているようだ
大地の強靱な風が清め対となって上空へ舞い上がる
橄欖色の草原で耳許に髪をかき上げながら立ち尽くしている
何を待っている? 何を見つめている?
傍に近づいてもう帰宅する時間だと言う
薬の匂いが頭を煙で満たしたような感覚に陥らせる
小さくコクリと頷き か細い手を繋いで家路に着く
禁じられた関係を隠して医務室で服を脱がせ三日に一度の包帯を解く
全身がケロイドで菫色に変色し火傷の跡が見るも無惨だ
もう一年になるか
この屋敷に火を放ち焼身自殺を図ってから
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