微吟(四)/信天翁
 
はるは蝶とささやきあい
  なつには蝉とうたいあい
    あきはむしとなぐさめあい
      ふゆにはみみずと遊びあい
風とは笑顔でダンスしあい
 光とはすなおに握手しあい
  雨とは畏まってお辞儀をする庭木
いま 落ち葉は築山の芝生で憩い
  わくら葉は庭木のねもとにまつわり
     枯れ葉は庭隅でねむりにつく
        いまもって漂っている
     古里の不憫な匂いも やがて
 裏庭の腐葉土に融けてゆくことだろう
     それでいい それでいいんだ
 やっと 後半生になって好きになった
            落葉樹の葉が
   


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