線香/はらだまさる
 
かを創作するのは決して悪いことではない、しかし、それがどんなに他者のこころを打ったとしてもそれは芸術と呼ばれるものではなく、単なる茶番に過ぎないということを知っておくべきだろう。作品の根底に流れるものが、その製作者の「怠惰で贅沢な生活費」であるのがわからないようでは、芸術を語る資格などないだろう。資本主義の嘘にのみ込まれてはいけない。



 俺は非公開のブログに小説の骨組みとしてここまで描いて、自分が今描こうとしているもの、それ自体が文学賞をとりたいがための、僅か数百万が欲しいだけの茶番に如かないことにうんざりしていた。 俺は誰に向かって何を描きたいのか、何を表現したいのか。世の中の俺
[次のページ]
戻る   Point(12)