白髪を掻いて/水在らあらあ
 




白髪を掻いて
新聞を読んでいる
あなたは
岩だ

猫を
下手くそに撫でる
次郎丸は
僕が名づけた

うちで生まれた猫たち 三匹
母親にとって
あんなに大切だったのは
少しは 少しだけは
あなたのせい

タバコの脂で 愛情も指先で詰まって
うまく出てこないんだね
猫は逃げて
あなたはまたすこし寂しくなって
白髪を掻く

夜霧が満ちて
あなたのハイライトの煙と
猫の爪とぎ
僕の傷口

愛していたとしたら
それはいつのことだろう
僕がおかっぱ頭させられてた頃か
レゴブロックで遊んでいた頃か

今日 作業中に石で手を潰したよ
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