四月の窓枠/松本 涼
 
傾いた四月の窓枠に
腰をかけて

うかれる風の様子を
ぼんやりと眺めていた


風は僕の前を通り過ぎ
木々の葉をペロリ
と捲ったかと思うと

今度は地面に急降下し
土とワサワサと戯れ

そしてまた僕の前へ
フイッと戻ってきた


僕はそのままじっと
風の出方を待った


風はしばらくは
僕の前を行ったり
来たりしていたが
ポツリと

「これは何ていう絵だろう」

と僕を見て呟き
そのまま雲のお尻を
押しに行ってしまった


僕はまだ
ぼんやりとしたままだ

  

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