静心なく/
蒸発王
なほど
空気の色は薄紅一色に染まり
こんなに騒がしい春は初めてのことだ
と
学校は呆然とそのさまに見とれた
校長が永眠されたのは
そんな開花の次の朝だった
眼前に広がる
渦高い春
其の開花が
別れの挨拶だと気づいた
瞬間
鋭い春疾風にあおられて
紅色の花びらが舞いあがった
天にも届きそうなほど
七つの桜の花弁は
上空へと手をいっぱいに伸ばしていた
久方の
光のどけき春の日に
静心なく
花の散るらむ
『静心なく』
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