梱包王/シリ・カゲル
 
いリユース資材を使って
ひとつ
またひとつとモノを梱包していった

その仕事ぶりの気持ちよさに
僕はやがて眠って しま う

朝、目覚めると
僕の粗削りの部屋は
段ボールの谷間になっていた
テーブルの上には書き置き

      請求書
          金参万六千円也
 梱包王の仕事はココまでです
 あとは、運送王に依頼してください
 料金は下記の口座に振り込んで
 うんぬん

僕は突然にできた深い谷の底で
  突然にできた痛い出費に
しばし頭を抱えていたが
足もとでは
谷間にしか咲かないスミレが
必死に僕に手を伸ばし続けていた。
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