梱包王/シリ・カゲル
 
 こん、こん、こん
夜、眠れないでいると
いつも扉はたたかれる

 来たですよ
 梱包王ですよ
そう言って差し出された
掌よりもひとまわり大きな名刺には
 ロマノフ王朝の末裔にして
 TVチャンピオン梱包王選手権
 第1回、第3回チャンピオン
            梱包王
と書かれていた

東京には
くだらないものと同じ数だけ
大事なモノがありすぎて
僕の粗削りの部屋は
いつしかモノやモノにあふれていた

梱包王は
さすがに王というだけあって
その仕事ぶりはとても丁寧で
有産的なモノ と 無産的なモノは
きちんと分別し
緩衝材や
地球に優しいリ
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