/病院玄関/プテラノドン
 
病院玄関前に
雨上がりの路上に
いちばん風が吹いていた

折れたアンテナが 屋上で
ひとりでに揺れていた
午前5時37分、街灯が消えた

ヒューズが飛ぶように
鳥が飛び立つ
宥めすかしながら 脈拍もならえ!

自動ドアを振り返らせたのは
警備員だった
男は門のない門番だった

真新しい緑のマットには
車椅子と、ストレッチャーの
タイヤのしめった跡が残っていた

それより多くの靴跡が 
玄関があった 
―いろんな朝がある、と

男は耳元でいった
かくも無防備に
おれは
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