文鳥/水中原動機
小学生の頃、文鳥を飼っていた。まだ生まれた家に住んでいたころだ。私と妹と弟は亡くなったばかりの祖父の名前をつけて、それはもう可愛がっていた。毎日えさをやり、水を換え、学校から帰ると一目散に鳥かごに向かった。そして容赦ない愛情を注いだのだった。加減などまだ知らない子どもらしいやり方で。
その日、いつもと同じように鳥かごから文鳥を出し、撫でたり手のひらに包んだりしていたのだが、どうも様子がおかしい。私たちが母に「なんか元気ないよ」と見せた途端に目の色が変わった。母は仏壇の前にガーゼを数枚置いたかと思うと、いきなりお経を上げ始めたのだ。
よく状況が飲み込めずキョトンとしている私たちに、母は「
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