背中探し/1486 106
押し寄せてくる人並みの中で
ただ一つの背中を探しています
三ヶ月前の雨が降った日
見失ったまま行方不明です
受話器越しのさようなら
それが最後に交わした言葉
自分だけ言いたいこと言ってさ
僕だけ悪者みたいじゃんか
確かに寂しい思いをさせたけど
このままじゃ一生罪を償えないよ
あと一回だけ会えるとしたら
百万回でも謝れるのに
きっとそういういい加減な言動が
君は我慢できなかったんだろうね
しみじみ感じるよ
冬は一人じゃ寒いね
もし新しい人と付き合うなら
几帳面な人を選んで欲しい
僕みたいに不器用な人だったら
やわな期待を抱いてしまうから
どこまでも孤独な町の中で
いまだに背中を探しています
干支が変わるまで考えたけど
存在は大きくなるばかり
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