平面の中の自分/ぽえむ君
 
ふと気がついたら壁の中にいた
床を歩こうとしても体が動かない
空間の中には入れないらしい
壁伝いに移動するしか手段がない
空間を斜めに進みたいときは
縦と横の二つで動かなくてはならない
体自体は自由なのだが
これでは何かと不自由だ
どうやって食事をすればよいのかすら
わからない
きっと食べなくてもよいのかもしれない

なぜこうなったのかはわからない
けれども
一つだけ確かなのは
今まで生きてきたこの空間は
とても広かったということだ
平面の中の自分は窮屈のようで寛大だ
ふと気がついたら壁の中は
意外と居心地がいい
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