月末/湾鶴
 


ぺたりと落ちた1円に愛想笑い
いつかお世話になるかもと
いやらしくお辞儀

文房具屋の駄菓子を
思い出せるだけ持って
1円 足りずに
レジ横へお菓子の山を
全部置いてきた夕方のことなんかを
くすりと笑いながら

カードやATMを使うようになっても
ポケットに小銭をチャラつかせ
お財布にも
10円ばかりがやけに多くて満腹だ
ヘソクリと称した夏目さんも
いつのまにか消息をたち

にせビロードのじゅうたんへ
ぺたりと落ちる100円のロマンスは
果てなくひろがり
とりあえず今日の晩飯にはありつけると
ひさしぶりに学生時代の習慣がでてきた
ボンカレーの日


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