金髪の詩人/はじめ
 
 金髪の詩人は詠うよ
 言葉を自在に操って詩を詠うよ
 地毛は黒だけど金髪に染めたのさ
 根元までちゃんと染めたよ
 さらにピンパーマまでかけたのさ
 だから女の子達に大人気なのさ
もちろん詩の才能があるからなのだけれど
 詩を詠う時
 金髪じゃないと想像力が全く湧かないのさ
 なぜかは分からない
 けど金髪じゃないと駄目なのさ
 生まれた時の彼には詩の才能なんて全く無かったが
 金髪にしたところ突然メキメキと才能が溢れてきたのさ
 詠うように詩がスラスラと語られる
 森の奥や海底や天上の神秘さをふんだんに織り込んで
 その煌めきさと言ったら彼の右に出る者はいないんだ
 即興で素晴らしい詩を詠うんだ
 おぉ 君こそ世界で一番の吟遊詩人さ
 君が詠えば荒野は草木花で一杯になり
 大海原は一瞬にして澄む
 人々は仕事のことも忘れて彼の詩を聴きたがる
 お金を取ろうと思えばいくらだって取れる
 けどそんなことはしない
 ただ詠っていたいだけなんだ
 今日も金髪の詩人は詠うよ
 ご自慢の金髪を揺すって詩を詠うよ
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