僕の好きな幻聴/はじめ
 
囁きかけてくる
 僕は当然その声を無視する
 しかし何も答えないでいると悪魔は執拗にだんだんと言葉数を増やしていき
 大量に罵倒雑言を浴びせかけて混乱させる
 意識が遠くなりながらも落ち着こう落ち着こうと必死になる
 悪魔は本性を現したらしくもはや無機質な声になっている
 世界中のありとあらゆる物音が悪魔の声になって聞こえてくる
 衣服の擦れる音 髪の毛の揺れる音 外の車が通る音など全てだ
 僕は横になって目を瞑って祈る
 どうか悪魔が消え去ってくれますようにと
 どうにかして眠りに就くと幻聴は消えている
 しかし悪魔はいつも僕と隣り合わせの関係で生き続けている
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