微炭酸の夢/夕凪ここあ
花かんむり
シロツメクサの匂い
透明色
ソーダ水の水面の波紋
むせ返る夏を
不器用に泳いで
よろめいた夕暮れ時に涙
びーだま、の
陽炎のアスファルトで
かなしい音を立てて割れていく
間から夜が生まれてくる
ママには内緒で
手のひらを重ねてみたら
太陽のあったかさ
夜ご飯は少し残した
あの日
目の中は透明色
びーだま、の
ソーダ水の揺らめく泡
ガラス細工の繊細さ
今ではもう
からだの中に浸透していく
やさしい痛み
昨日の夢は
シロツメクサの匂い
目覚めに泣いていても
とっくに置いてきた
びーだま、の綺麗すぎる音色
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