春おんな/yangjah
 
桜の木の枝に
桃色の気配が
漂いはじめる

艶かしさ

清らかさ

境目を
見せない
おんなの粋を
桜の妖精は
知っている

春の気配と
雨の後の湿り気の中で

どんな人からの賞賛よりも
「なにやってるんかよーわからんけど
 とにかくよーがんばってるな」と
父がぼそっとつぶやいてくれたら
それでいい
今世生きている間に

誰かのおんなであって
誰かのむすめであって
いつかは誰かのははに
なるかもしれない
そして死ぬまで
何者でもないおんなでありつづけて


一雨一雨春にちかづいてゆく

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