マントル/石田 圭太
 
隔たりを埋めるために

どこまでもどこまでも下ってやるんだと思っている

今数々の生き物たちと別れを告げて

新しい出会いと別れという

いわゆるお涙頂戴を繰り返しながら

たまには一方的に頂戴してやろうかと思っている

俺達の流す涙の間には長い隔たりがあるから

それも含めて全てが長く隔たっているから

どこまでもどこまでも下ってやるんだと思っている

繰り返すうちにやがて建物は少なくなって

一切の乗り物にも乗れなくなるよ

孤独を感じてもやるせなく走るしかなくなる

すべてとお別れしなくてはならない日も来るかも知れない

だけどそれは可能性
[次のページ]
戻る   Point(30)