根無しの実/ポッケ
根無し草は
好奇心で出来ていた
先端にとらえためづらしいものに
気ままにくっついては離れ
色んなものと親しくなった
根のある草は
彼をさびしい草だと言った
大地に根をはってこそ
安心して風にそよがれるのだと
根無し草は
さびしいと思われることがさびしかった
彼にとっては同じことだったから
大地にではなく自分の体に根をはっていたから
それからも
自由と微かに絡みつくゼリー状の繊維
そして自分の体を抱えて漂った
ある日から
根無し草は「詩」という実をつけはじめた
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