とけい/ひめと
 

笑うことすらできなくなって
泣くことすらできなくなって

それでも僕がみていたのは
いつでも窓際のきみ

庭で犬がないてるからね
隣で猫がないてるからね

泣いてるのかしら
啼いてるんじゃない

いつだって
そうやって

わらいもなきもしないで

だってすきだから

とけいの針を折って
さきに進めないようにして

きみをつかまえた気になって
ただ傷つけただけ

それでも
すきなんだよ

砂どけいをひっくりかえした

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