全世界的アンブレラ2/
吉岡孝次
古い瞳を投げ捨てて、明日を生きようとする者と
古い瞳を投げ捨てて、昨日を辱めようとする者が
等しく今日を仰ぎ見る
過去も未来もない瞬きの直後に
少女が指先で辿る、忘れてしまった綴りにも
少年が爪先で探る、生き残るための銃架にも
等しく歴史は膝を折る
過去も未来もない瞬きの直後に
だが 過去も未来もない瞬きの直後にも
新しい瞳に風は吹くだろう
新しい瞳は それを追うだろう
降る雨を逃れられない、
それが僕らのアンブレラ
戻る
編
削
Point
(1)