右手の甲にそら豆/カンチェルスキス
 
庭用の洗濯機を背負って屋上まで駆け上がってきた
 おれたち二人のところまでやってくると、
「洗濯機、お届けにあがりました!」
 と快活な声で言った、顔と背中には汗

 なんだ、牛乳じゃなかったのか、屋上に
 土足で入ってくんじゃねえよ、靴は脱げ靴は
 ここは人のうちとおんなじなんだぜ、てめえ、わかってんの?
 自分ちでも土足か?おまえは、狂ってるぜ、らっきょうしか
 食ってねえような頭の中身してるぜ、それになんで洗濯機なんだよ?
 なんで牛乳じゃねえんだ?ああ?おまえ、地獄に落ちたいか?
 もう地獄に落ちてんのかもな、こうやって、このタイミングで
 俺のところに導かれるよう
[次のページ]
戻る   Point(11)