右手の甲にそら豆/カンチェルスキス
庭用の洗濯機を背負って屋上まで駆け上がってきた
おれたち二人のところまでやってくると、
「洗濯機、お届けにあがりました!」
と快活な声で言った、顔と背中には汗
なんだ、牛乳じゃなかったのか、屋上に
土足で入ってくんじゃねえよ、靴は脱げ靴は
ここは人のうちとおんなじなんだぜ、てめえ、わかってんの?
自分ちでも土足か?おまえは、狂ってるぜ、らっきょうしか
食ってねえような頭の中身してるぜ、それになんで洗濯機なんだよ?
なんで牛乳じゃねえんだ?ああ?おまえ、地獄に落ちたいか?
もう地獄に落ちてんのかもな、こうやって、このタイミングで
俺のところに導かれるよう
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