右手の甲にそら豆/カンチェルスキス
らこんな思いもできないんだよ
警備員のおっさんの語り口調はだんだん静かになってゆき、
パッとおっさんの右手の甲を見たら、
『そら豆』って太マジックで書いてあった
たぶん、今日の仕事終わりの買い物で忘れないためかも
へー、やっぱそれってキムチみたいだね、チャンジャとか
ピピンバでもいいけど、すごく白米に合うって感じだな
なかなか彼女から返信のメールこねえや、
今日のシフト遅番だったかな?
こういう待ちっていらいらするんだよな、なんか気になってさ
携帯を開けたり閉じたりしてる姿からも
いらいらしてるおれははっきり自覚できた
やっぱりわたしが牛乳買
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