右手の甲にそら豆/カンチェルスキス
 

 ただ、だらんと垂れた右手の甲の『そら豆』という文字が
 どの午後より死んじゃってる午後の図書館の屋上に
 ふさわしくて、心が、ぎゅん、となった
 牛乳飲みたくなったけど、おっさんはああだし
 何度も新着メール問い合わせするたびに
 なんの反応もなくて落ち込んだ。怒らせたかなあ、あのひと言かなあ、
 彼女意外とへそまがりだからなあ、やきもきするなあ、この時間帯は、
 さっきからおれは彼女からのメールの返信を待っていた

 




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