春/ひめと
 



そらはあんなに晴れているのに
君はないている

なかないで
と肩をだいても

なき止むことはなくて

ただ抱きしめて
おおげさだよ、と笑われて

それでもはなさないんだよ

となりで洟をすするおとがして
君はすまなそうにわらって

ひとつ
くしゃみをした

そらがあんなに晴れているから
君がないている

僕はただ
君の肩をだいて

君のにおいと
春のかおりを感じている



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