薄紅桜/三架月 眞名子
 
今咲く桜
ま白な桜を
あなたは一人眺めているのでしょう
私の寄りかかりし幹に手を当て
お慕い下さっているのかしら
ならば私は幸せな罪人

そんな私に
もうひとつだけ我儘を
許してくださるのならば

あくる年のこの季節まで
どうか私をお忘れにならずに
そしてあの桜の下へいらして
一人でいらしてください
その頃には
私の身体から溢れるあなたへの想いで
白き桜を薄紅に

そして二度とあなたから離れないように
離されないように
これから幾年幾千歳
桜が色を失くさぬように
あの木の元で夢に沈みます


嗚呼
なんという贅沢
この上なき幸せ
この世でもっとも恵まれた眠り姫



そう

私の願いはずっとずっとただひとつ・・・


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