夕焼け空の紙飛行機/ぽえむ君
 
誰もいなくなった教室に
少年が忘れ物を取りに戻ってきた
いつもの教室は
いつもとは違う匂いがした
別に急いで帰らなくてもいいのだが
教室の中の空気を乱すのを恐れた
駆け足で自分の机に向かい
忘れていた宿題用のノートを
かばんの中にしまい込むと
少年は安心した
ふと気づけば
窓の外にはきれいな夕焼けが広がっていた
いつもの教室には
いつもとは違う世界があることを
少年は初めて知った
静かに移り変わる夕陽を
ぼんやりと眺めた
何を思ったのだろうか
少年は教室に余っていたプリントを手に持つと
紙飛行機を作り始めた
不器用に作られた翼は長くは飛ばなかった
一つ作っては窓から一つ飛ばした
何ら意味のない行為なのだが
少年にとってはとても大切なことのように思えた
赤い空に白い羽が交錯する
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