にびいろの声紋/
信天翁
置いてきぼりをくった事も判らずに
自我の尻尾を振りながら
manualを金科玉条としていた昔
なのに今や うつろな自分と
まぼろしの他人とが鬼ごっこしている
壊死寸前の脳細胞の荒地で
街灯が唾を溜めて濡れている
夜の底に赤茶びた四次元を転がして
あゝ 深みも厚みも増した冬の雨
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