「春待ち」/和 路流(Nago Mitill)
ってくるのを
彼方の青空に憧れながら
僕は ずっと恨み続けていたんだ 春が僕のもとへ やってこないのを
でも それでは駄目なのだね 人は花とは違うから
何十年何百年と雪の下で ひたすら望む春が来るのを待つことはできない
春を待つ傲慢さが 植物である花が持たない 人の可能性を忘れさせていた
僕には 足がある 春を探しに行くための
人は花とは違うから
自分で あたたかな地を目指さなければならないのだね
青い空を信じて 僕は立ち上がる
あたたかな春の地を目指し 灰色の地を旅立つ
僕が自分を独り閉じ込めていた白い雪を ゆっくり踏みしめながら
(2007年・筆)
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