無情/
柴田柴助
書きなぐった原稿
溢れたごみ箱から漁りだし
我が人生を振り返る
私は
なんてたくましく
なんて非情なのだろうと
頭をがむしゃらに振り回す
語るのは文字
語りかけるのは心
ぐしゃぐしゃな原稿が
私の生きていた証
気が付けば、
もう何度めかの春が
カーテンから差し込んでいた
レースのカーテンは微々たる光で
それはそれは
美々であった
春
また一枚、原稿が生まれ
そして落ちる
戻る
編
削
Point
(2)