きみをひらく/はらだまさる
 






きみをひらくと
なかから ちいさなきみが
ぽろぽろと はだかのままで
たくさんの 砂金のようにこぼれて
たくさんのきみは 少しはずかしそうに
ひざをかかえてる


そうやって
ぼくはいつだって
きみのそうしょくを はぎとって
からだのぎょうかんと
こどうを 舌であるきながら
ちいさなきみを ゆっくりとなめて
とかしてゆく


そしていつもどおり
きみの呼吸をききわけ
むじかくに きみをころしてしまうから
(そんなことでだれかがしぬなんてかんがえもしないから
それくらいで きみがよのなかから
きえることはない、なんてことはない

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